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第2回高等教育研究プラットフォーム

第2回高等教育研究プラットフォーム・シンポジウム 開催報告(実施済み)

  • テーマ:「政策決定過程の変容と高等教育」
  • 記事概要:第2回高等教育研究プラットフォーム・シンポジウム 開催報告
  • 開催日時:2019年3月19日(土) 13:00-16:30

下記のレポートが、広島大学高等教育研究開発センターのホームページにも掲載されました。

2019年3月19日,東北大学東京分室会議室において,広島大学高等教育研究センター第13回公開研究会および第2回高等教育研究プラットフォーム主催セミナー「政策決定過程の変容と高等教育」が開催された。

  近時の高等教育政策は,首相直属の審議会から発信される提言をもとに政策形成が進み,高等教育の枠組みを変容させるようなガバナンス改革,入試改革等が矢継早に実施された。一方,これらの政策が,高等教育の多様な役割と機能を維持・発展させるか,また,大学の自主・自律性を損なわないか,強い疑念がある。政策は国民の幸福に対する実現手段であり,関係者の利害を調整し,事実やデータにもとづいて決定・実施されるべきものであり,政策形成過程の透明性も担保される必要性がある。そこで,今回は政治学・教育行政学・高等教育論の立場から,高等教育に関する政策決定過程の現状の一端を明らかにすることができればと考えた。講演は以下の三氏に依頼した。



* 講演1:「現代日本の政治・行政体制の課題」牧原 出氏 

 牧原出氏は政治学・行政学が専門で,政治家や官僚を対象にした数々のオーラル・ヒトリーも手掛けられている。牧原氏は「官邸」の役割を軸に小泉内閣以降から第二次安倍内閣までの変遷を辿っていただいた。小泉内閣では,官邸主導の下,安定した制度作動(官邸が各省のコントロールを含めた政権全体を作動させる)が行われたが,第一次安倍内閣・福田内閣・麻生内閣では制度作動の失敗と再建,民主党内閣では制度作動の抜本的変更と透明性の進展,第二次安倍内閣では制度作動のさらなる変動が行われたとした。第二次安倍内閣では,マンパワー(内閣人事局),権限(現在の内閣法制局),情報(独立公文書管理監)を動員・活用できる体制を整えたとした。しかし,政権中枢の人事が刷新されず,その基盤は必ずしも安定していないことを指摘した。


* 講演2:「政権交代による政策変容と教育政策決定システム」村上 祐介氏

 村上祐介氏は教育行政学が専門で,教育委員会制度に関する著作が多い。教育行政学の視点から政策決定過程の変容について論じていただいた。90年代以前は文部省と自民党との政策調整による決定(合意型民主政治)だったと指摘する。結果,文部省の政策形成過程は政策の継続性が重視される一方,現状維持的で閉鎖的であったとの批判も存在した。2000年代以降,内閣への執政権集中が進む中で,従来の教育政策過程の特徴は大きく変質したという。とりわけ,第一次・第二次安倍内閣では教育改革に対する関心が高く,その政策過程は多数決型民主政治に移行したとする。執政府が圧倒的な権力を持ち政策を進めるも,政治的中立性・安定性・継続性の確保に課題があるという。また,高等教育分野の特徴として,初中等教育と比較して,国による政策決定の関与が直接的であるがゆえに,政治主導の影響を受けやすいことを指摘した。


* 講演3:「2010年高等教育政策決定過程の特質」羽田 貴史氏  

 羽田貴史氏は高等教育論が専門で,大学政策論・組織論・制度論・大学職員論等の多様な視点で大学を研究してこられた。羽田氏には,具体的な大学改革の事例を挙げて,2010年代の高等教育の政策決定過程の特徴を論じていただいた。大量の資料の渉猟から,6つの特徴を挙げたが,ここでは「総合調整」されない高等教育政策,政策インブリーディングと非公開会議について言及する。前者の「総合調整」されない高等教育では科学技術イノベーションへ重点を置く余り,大学のマルチな機能を損なっていることを指摘した。後者では,「グランドデザイン答申」に記されたアンブレラ方式による大学の連携・統合を俎上に上げ,同じアジェンダを持つ政府内部の審議会等の議論を相互参照しながら議論を収斂させていった(政策インブリーディング)や非公開で実施された大学へのヒアリング,調査研究の欠落の問題点を指摘した。


 以上の講演を踏まえ,総括討論を行った。そこでは,高等教育政策研究の深化を図るには,史資料の収集・活用,インタビューだけでなく,公共政策学・政治学・行政学・教育行政学等の関連する分野との協働が必要との認識が共有できた。   

(文責:広島大学大学院 宮田弘一)

第2回高等教育研究プラットフォーム.txt · 最終更新: 2019/04/12 11:12 by pan